──木下さんは最近のART-SCHOOLで、ニューウェイブ寄りの作品は作ってますよね。それと、ある種のファンクネスのある曲も。
木下 そう……ですかね?
ニューウェイブの側面はART-SCHOOLでけっこう出してて、でもファンクネスの部分とか横ノリの部分は、資質として元々持ってるプレイヤーじゃないと出せないんですよ。
どんだけ練習しても出ないんです。それはずっとやってきたからわかるんですけど。
だからそこの部分はART-SCHOOLでやっても作り物みたいになっちゃうからやってなかったことなんですけどね。その中で、できることはベストを尽くすつもりなんですけど。
──そもそも木下さんの中にファンクへの興味は昔からあったんですか。
木下 まあ何をファンクって捉えるかなんですけど、僕はTHE CUREとかプリンス、あとはJOY DIVISIONもすごい踊れるなあと思うんです……ただ、それだけなんですけど(笑)。
──確かにプリンスは別としても、あとの2バンドはいわゆるギターバンドでありながら、フィジカルに訴えるところや、そのバンドにしかないフェティッシュな感じがありますね。
日向 ま、お互い「ビジョン、こんなんだ」つって持ってきたCDがすごい似てたんで、わかりやすい感じですよね。
木下 で、なんかね(笑)新しいジャンルをね、さっきトイレで髭剃りながら考えてたんですけど、(シューゲイザーをもじって)“シューファンク”っていうのを。
日向 ははは。
木下 って言葉を流行らそうかなって(笑)。
──そう。だからビジョンが独特だなあと思うんですよね。
木下 そうですね。たぶんいろんな要素があるんだけど、共通して好きだったのがプリンスとか、細かく言うと、ひなっちはFISHBONEとか。
日向 FISHBONEとかすごい好き。
木下 で、そういう感じにプラス、僕が好きだったTHE CUREやJOY DIVISIONとかの感じを混ぜる……ATOMS FOR PEACEとかも、YouTube観てたら、JOY DIVISIONのカバーもやってるんですよね。「あっ」と思って。これはたぶん似てるんだよねって、目指してるところが、って勝手に思って。
内向的なんだけどすげえフィジカルで踊れるもの、それが僕らは気持ちいいかなと思って。こう、無理やりアゲて、ハッピー、みたいな空間を作るバンドもアリだとは思うんだけど、このバンドでやりたいのは、そういうおとぎ話みたいな世界を作るんではなくて、あくまで現実を見ながら、でも踊れるっていう空間を作るってことですかね。
──JOY DIVISIONもそうだけど、NEW ORDERとかも例えとしてわかりやすいかもですね。1人ひとりが内に向かいながらもアガっていくっていうのが踊れる音楽のちょっと狂気を孕んだ部分だし。
木下 だってNEW ORDERの「リグレット」とか、めっちゃ歌詞暗いじゃないですか? でもすげえポップだし、踊れるし。で、イギリス人はそれをネイティブに言葉として耳に入って理解して、踊ってるワケでしょ? だけど今の日本でそういうバンドはいないって断言できるし。
──「みんな大丈夫だぜ、行けるぜ!」って内容で踊るんじゃなくて。
木下 けっこう日本って、その瞬間が楽しければ、次からの仕事がつらくてもOKじゃん、みたいなノリのバンドって多いと思うんですよ、若いバンドも。でも俺が10代のときとか、ちっちゃいときから好きで聴いて影響受けてきたのは、さっきも言ったけど、現実を歌いながら踊れたりする音楽だから、そこを若い子に見せてあげたいっていうのは使命感の話で言えばありますね。
──で、アルバムの1曲目から意志的だなあと思ったんですよ。イントロがベース始まりで。しかもこの1曲にバンドのほとんどの要素が入ってますよね。
木下 はい。
──ベース始まりで、しかもラテンパーカッションのようなリズムも入ってて。こういうリズムはトレンドでもあるけどそこはあまり関係ないんですか。
木下 あー、VAMPIRE WEEKEND的な? それっていうよりもどっちかっていうと、僕、そのときTALKING HEADSとかをすごく聴いてて、音もそんな感じだったんで(笑)。どっちかといえばアフリカ音楽の感じがある、そういう先人たちを聴いてて、トレンドはまったく意識してなかったですね。