- 僕は音楽を作るとき、あまりいろいろなことを意識しないんだ。言葉でガイドラインや方向性、または自分なりのルールを説明する人もいるけど、自分のフィーリングに基づいて音楽を作ってるだけだからね。歌詞のコンセプトを反映させて、音楽的なエネルギーが徐々に上昇するような作品にしたかった。このアルバムのために作った楽曲は、歌詞が伝えようとしている物語を反映しているから、アルバムの冒頭は沼みたいに暗い世界から始まって、徐々に明るい世界観へと変わっていくようなサウンドを思い描いていたよ。こういった説明は曖昧に聞こえるかもしれないけど、意識したのはそういうことだけだね。そのほかは無意識で作ったり自分のフィーリングに従っただけさ。

- 毎日何時間もギターを練習していると、ほかのギタリストの演奏を聞く時に、技術的にどうやって演奏しているかに焦点がいってしまう。でも僕は、ギタリストと他の演奏者との音符やリズムの関係性、ギター・トーンが全体的な音響空間の中でどうやってフィットしているのか、そういうことを考えて聴いているんだ。そういうアプローチでギターと向き合うと演奏するのがまた楽しくなったんだよ。それに加えて、さまざまなタイプのギター・プレイを評価できるようにもなった。肉体的に派手な演奏をするのがいいギタープレイじゃない。肉体を駆使したテクニカルな演奏というのはギタリストにしかその寄さは伝わらないんだよ。ネックの上でどういう指の動きをしないといけないか、何時間も練習しないとそういう演奏ができないということがわかっているからね。でも一般の音楽リスナーやほかの楽器奏者、またはギターのサウンドが純粋に好きな人にとって、それはあまり関係ないことなんだよ。指板上での肉体的な動きは一瞬にして終わることなんだ。どの楽器を演奏するときでも、僕にとって一番大事なのは、頭の中でアイディアが浮かんで、それが音として現れる瞬間なのさ。それ以外のことは、あまり重要でない。僕にとって演奏者のアイディアが、音楽の中でどういう関係性をもっているかのほうが大切な意味を持つんだよ。

- RHCPの「By the way」を作った頃に、僕はザ・スミスのジョニーマーのギター演奏を研究することにハマって、彼からコードの組立て方や、通常とは違うインターバルの重ね方、複数の対照的なギターパートの重ね方、コードを重ねることで同時に異なる音の動きを作り出す手法などを学んだのさ。コードチェンジの中で、もとのコード進行に入っていないインターバルを取り入れて音符を複雑に重ねていくのも彼は得意だった。彼はザ・スミスの中でそういう演奏のマスターだったからね。僕がほかのギタリストを聴くときは音楽理論で分析していく。だからといって感情的に音楽を聴くことの邪魔にはならないよ。僕が9th, 11th, 7thなどが入ったコードを聴くと、そういうインターバルの持っている感情を象徴しているように聴こえるんだ。今まではジョニーマーのギター演奏を理論的に分析していんたんだけど、彼が僕の曲でプレイしたときに、彼はまったく音楽理論で考えていないことがわかったんだ (笑)。演奏しながら直感的にリフを作っていくんだよ。だから彼の複雑なインターバルの関係性を取り入れたコードチェンジの作り方やリフの組立て方を観察できたのは興味深かったし、すごく勉強になった。彼には僕の曲のコード進行を教えたんだけど、即効的に素晴しいパーツを作り挙げていったんだよ。で、ジョニーといろいろ話していくうちに、音楽理論を学んでいないことを知ったんだ。今まで彼は直感やフィーリングだけで演奏していただけなのさ。そういう人には、独自の理論が頭の中でできあがっていると思う。僕の場合、音楽理論でそれぞれの楽器の関係性を分析したほうがわかりやすいんだけど、必ずしも理論は必需品ではないと思うよ。