この誰でも耳に覚えのあるリズムパターン、それでいてオーケストラと一緒に鳴ると妙に胸騒ぎ(?)がするドラムループ。これって何?と思ってたら、最近いくつかの曲でたて続けに出会った。
調べてみたら、「アーメン・ブレイク」と呼ばれる、ブレイクビーツの超定番のフレーズだった。
(下段:バスドラム、中段:スネアドラム、上段:ハイハット。出典は英Wikipedia のAmen Breakの項。4小節の前半部分)
「アーメン・ブレイク」という名前の由来は、ウィンストンズ The Winstons というアメリカのファンク/ソウルバンドが1969年に録音した<Amen Brother>という曲に出てくるからで、次の1’26”~1’33”がその有名なブレイク(間奏部のドラムソロ)の部分。
しばらく忘れられていたこの曲を、80年代後半、サンプリングのネタを求めて古いレコードを漁っていたヒップホップのDJたちが再発見する。
そして安価なサンプラーの出現とともに、この6秒足らずのブレイクは、ヒップホップをはじめジャングル、ドラムンべースなど、ブレイクビーツミュージック(=ブレイクの部分をサンプリングして再構成する音楽)の元ネタとして盛んに使われ、世界で最もサンプリングされた素材のひとつになった。
アーメン・ブレイクのリズムがストレートに使われている例としては、たとえば
アメリカのヒップホップグループN.W.A.のギャングスタ・ラップの曲(1988):
N.W.A. - Straight Outta Compton (Uncut) [HD]
一方、サンプラーでスライスし、並べ替え、新しいリズムパターンにして使った曲のほうは、丸ごと聴いても原型の痕跡がよくわからないので、次の音源を聴くのがおススメです。
2004年にアメリカのNate Harrison というアーティスト/ライター(HP)が作ったアーメン・ブレイクの歴史の解説(原題は”Can I Get An Amen?”)で、サンプリングされた例が8曲(+後半部にテレビCM)、聴くべき部分だけ引用されているので、その変容がよくわかります。
英語だし18分と長いので、手っ取り早く理解するには 3’35”~9’35”の8曲の引用部分を。
後半部分は、サンプリングと著作権問題と音楽創造の関係についての考察。
メモ:上の映像で引用されている曲は以下の通り。♪でYouTubeへ。
(仏語字幕版ここより。年号は原文ママ。実際の発表年はもっと早いケースも。)
1.3rd Bass - Wordz Of Wizdom (1989) ♪
2.N.W.A. - Straight Outta Compton (1989)既出
3.MANTRONIX- King of the beats (1990) ♪
4.Shy FX - Original Nuttah (1994)♪
5.L.Double & Younghead - New Style (1996)♪
6.Squarepusher -VicAcid (1997)♪
7.Hrvatski(Keith Whitman): Routine Exercise (1998)♪
8.Perry Ferrel - Whole Lotta Love (ツェッペリンの曲のカバー)
アーメン・ブレイクをサンプリングした曲のリストはここにもあるけど、とにかく何百曲とあるらしい。