エネルギーは世代交代の時期がきている

飯田 原子力のプロはエネルギー政策が分からないし、エネルギー政策のプロは原子力が分からない。そういうなかで「現実」が盲点になっていたんです。それに加えて、自然エネルギーが私の予想を超えて爆発的に増えてきた、という現実がある。

小林 それは世界で、ですか?

飯田 世界で、ですね。日本は全然ダメなんですが。

小林 それで、ap bankでも環境問題と同じくらいに、これからは自然エネルギーというものを考えていかなくてはいけないという思いがあったんですが。これが本当に、頭打ちにあっているんですよね。

飯田 日本ではそうなんですが、世界ではこの10年間に爆発的に伸びたんです。
例えば風力発電の市場は毎年30%ずつくらい拡大していて、去年は世界全体で約2億キロワットの設備容量になりました。原子力は約4億キロワットなので、今、風力はその半分まで来たんです。長くて5年、短くて3年で風力発電の発電量は原子力を追い越すというスピードで増えています。また、太陽光発電の設備容量はちょっと少ないんですが、それでも毎年60%ずつ増えています。

そうした拡大には、経済的に自然エネルギーの買取りを支えることと、送電線の接続を保証することが一番重要です。経済的に買い支える仕組みは、固定価格制度と呼ばれる制度(※自然エネルギー発電事業からの電力買い取り価格をあらかじめ法律などによって公表する仕組み)のことを言います。

例えば「20年間、風力はいくらで買い取ります」、ということが保障されると企業は安心して投資ができますし、銀行もリスクが少ないので安心してお金が貸せます。それが実現できた国や地域で、次々と発電量が爆発的に増えているんです。2000年当時には世界で数か国しか導入していなかった固定価格制度が、今や83か国が導入するまでマーケットが拡大している。

小林 それは送電線とどういうふうに繋がっていくんですか?

飯田 送電線の制度に関しては、ヨーロッパで2000年に最初に導入したのが、もともとドイツとデンマークがやっていた、”優先接続(プライオリティ・アクセス)”というもので「自然エネルギーは他の電源よりも優先して送電線に繋ぎなさい」という法律です。

送電線に接続できて、それが高値で売れれば普及していくということですね。中国はそれを2006年に導入してから倍々ゲームになっていて、今や世界で一番、風力発電による電力が増えているんです。

もうひとつは、小規模分散型の製品はパソコンや携帯や液晶テレビと一緒で、普及すればするほど価格が安くなる。このように原子力が消えていく現実と、自然エネルギーの急速な普及とが、クロスしているというところに今ちょうど来ている。