小林 この間観た某テレビ番組で、世界に対して企業の原子力の輸出価値というものが、国益として重要なんだということなども言っていましたけれど。今の日本の原子力技術って、飯田さんの話を聞いているとそんなになんかこう…、バリバリのエースって感じもしないのですが。

飯田 しないですよ(笑)。日本の技術なんて「ない」って私は言っていますけど。

小林 そうですか。

飯田 まず客観的な証拠として、日本は原子力技術を導入してもう50年以上経過しているのに、なぜ今さら、某企業が5000億円も払って、ウェスチングハウスを買収しなきゃいけなかったのか、ということが、すべてを語っています。

例えば他の国は最初の頃は原子力技術をアメリカから輸入していたけれども、スウェーデン、ドイツ、イギリス、フランスはみんな自前の設計パッケージを持っています。日本では、設計図面には日本の企業名が書いてあるんですけれども、実態としてはエンジニアリングパッケージと呼ばれるところはどれもGEかウェスチングハウスのものなんですよ。日本の原子力企業は、設計パッケージという本質的な部分を50年経っても作ることができなかったのです。 私は原子力の空洞化についてははっきりと証言することができます。

小林 外側はハイテクに見せかけて、内側はベニヤ板っていうことですか。

飯田 それですね。

もうちょっと具体的にいうと、1995年と昨年(2010年)に起きたもんじゅ(福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖実証炉)の事故が象徴的です。ふたつの事故はよく似ているんです。

1995年は熱電対と呼ばれる金属の温度計が折れちゃった。今回は燃料を扱う肝心機器である炉心の上に落ちちて、にっちもさっちもいかなくなっている。そういう重要部材すら、まともに設計できていない。子会社、孫会社みたいな町工場の下請け的なところに作らせているし、それを設計した人は、原子炉の中でどういう力がかかるかということをまともに計算できていない。

燃料の上を通るという極めて重要な部材が簡単なビスで止めるようになっていて、落ちた瞬間にそれが潰れて使い物にならなくなっている。そういう部材はもちろん落ちないように設計されるのが当たり前で、仮に落ちたとしても、復旧可能なようにひとつの塊で作るべきです。そんな素人でも分かることがいくつも積み重なっているんです。