小林 スマートグリッドをやることによって、勝手に電気の効率がよくなるということはないのですか?
飯田 それも10年後には期待できると思います。
希望はあるんですけど、半々というか、悩ましいところがあって、ヨーロッパ型スマートグリッドと、アメリカ型スマートグリッド、日本型スマートグリッドというのは違うんですよね。
今現在の日本型スマートグリッドというのは、電力の独占を前提とした、非常にギミックというか、小細工的なスマートグリッドですね。アメリカはやっぱりアメリカ的で、Google energyに代表されるような、まったく新しいビジネスモデルを作ろうとしている。これは非常に面白いですけど。
小林 興味あります。そこには当然、エネルギー自給という部分も含まれてきているんですよね?
飯田 そうですね。自給をもっとはるかに超えたような、それこそインターネットの情報のクラウドのようなイメージで、エネルギーの需要側に供給もあり、バッテリーもあり、需給調整もあるというものを作るのが、グーグルの構想ですね。それはそれで非常に面白い分野です。もうひとつヨーロッパ型はやっぱりヨーロッパらしくて、すごくオーソドックスな道を歩んでいるんですよ。それはどういうことかというと、イギリスの1990年の自由化から始まって、ノルウェー
そしてスウェーデンと、90年代に自由化の基本形のようなものを終えているんですね。
それは電気料金の自由化なので、ユーザーが、どこの電力会社でも選べるように、古典的スマートメーターじゃないとそもそもだめなんですね。A電力会社はひとつの地域だけ売るのではなくて、いろいろな地域に電気を送り込む。ユーザー側から言えば、自分のところで色々な電力会社の電気が買えるわけだから、その電気が段階的に整備されてきた。だから日本でスマートグリッドのブームが始まったときに、ヨーロッパではスマートメーターがとても普及していた。つまり90年代にエネルギー自由化をした時から整備が始まっていたわけですね。
小林 なるほど。
飯田 それがまずベースとしてあって、次の段階が、電気料金と需要と供給の関係をリアルタイムにつないでいこうという、リアルタイム料金ですね。つまり需要が高くなって供給が低いときは、価格を高くしよう、逆のときは価格を安くしよう、そういう仕組みをちゃんと作ろうということを、2000年あたりからやってきています。
そして第3段階として、Google的なスマートグリッドが射程に入っている。それがヨーロッパ型スマートグリッドなんですね。日本型スマートグリットは、そういう段階はまるで踏んでないし、かといってグーグル的な大きな構想力もない。ガラパゴス携帯と同じで、ちょっと今、出口がないんじゃないか、というのが私の見方ですね。
小林 それはスマートグリッドに関して?
飯田 ええ。だから制度の整備も必要だし、一方で日本の企業がGoogleのようなイノベーションの力、構想力を持つ必要もあるのですが。私も今、経産省がスマートコミュニティーといってやっているところのいくつかを見て歩いているのですが、ほとんど笑えないジョークのような状態が続いていますね。